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企画用倉庫

Twitter交流企画「パンドラ」/うちの子総出学パロ企画の倉庫。

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再会。-前-






「……また会ったみてェだな、クソガキ」

 ピリピリとした空気の中で、目の前の小柄な男は薄い笑みを浮かべる。
 アロウがその男を忘れる筈も無かった。手に持つ大型の斧――バルディッシュを両手に握り締めながら、男の方へと其れを向ける。

「まさか永久機関の人間だとはな。納得したぜ、そのツラ」

 約二ヶ月前に街でアロウと対峙した男。
アロウより一回りも二回りも背丈が小柄であるにも関わらず、力には自信のあった自分をいともたやすくいなした人物。という事がアロウには相当な屈辱だったらしい。
 アロウの嫌味混じりの言葉を、男は気にも止めず鼻で笑う。

「ハッ、口の減らねェガキが。御礼参りのつもりかよ」
「それはついでだ。……オラクルの場所、知ってんだろ、吐けよ」

 この男と対峙した以上私情も含まれるが、優先すべきはオラクルの所在である。
 数日前に永久機関の人間に拐われたというガーネットの話を聞き、ヴィクター等同じユグドラシルの同志数人でこうしてオラクル救出の為に出向いたのだ。目的を忘れてはいけない。アロウ自身もその事は重々に承知していた。

「……ふゥん、お前もあのユグドラシルだかいうトコのモンか」
「だったら何だってんだ」
「確か、ゴッドチャイルドを保護だとかなんだとかほざいてる連中だったかね……くだらねェなァ」

 そう言って男は腰に付けていた剣を引き抜き、その切っ先で空を切った。男から発せられるジクジクとした黒い殺気のようなものが、アロウの肌にも伝わる。

「くだらねぇだと?くだらねぇ研究してんのはテメェら永久機関の方だろうが!」
「吠えてんじゃねェよ、俺は機関の研究なんざ興味ねェ」

 先に動き出したのは男の方だった。即座にアロウの方へと詰め寄り、右手に握る剣を上から下へ、アロウの頭を狙いに斬りかかって来た。アロウは片足を後ろに引き衝撃に備えながら、同時にバルディッシュの柄を横に構えて男の剣撃を受け止める。
 思っていたよりも男の一撃は重く、舌を打ちながら力ずくに柄を振って男を振り払った。しかし男の表情は余裕そのものであり、宙を返りながら後退する。

「教えてやるぜ、クソガキ。機関の研究員の中にも、馬鹿な奴はいるもんなんだよ。ゴッドチャイルドを自分の研究の為じゃねェ、護る為にだとかなんとかほざいていた奴がな。ーーお前によく似た色のした女だ」
「……俺に、似た……」

前にもこの男からその話を聞かされていた。その時から、アロウの中で一つの仮定が生まれている。ただ、それを口にする事は、自身の中で少々躊躇いがあった。
ーーだが。

「その女……もしかして、ハリエットとかいう……」
「ハッ、心当たりはあったみてェだな。アタリだよ!」

アタリ、という男の回答にアロウは身体を強張らせた。
忘れるはずもない、そのハリエットという名前はーー

男はアロウの空気の揺らぎを敏感に察知し、直様アロウに向けて剣を振るった。今度は身体の捻転を加え、先程よりも重いのが来る。とアロウは頭では理解していた。だが、身体が完全に硬直してしまっている。仮定が確信へと変わった時の衝撃は、アロウ自身予測だにしていないものだった。
ーー避けられねぇ……!

「オトギ!!」

咄嗟に目を瞑り男からの一撃を確信した刹那の事であった。聞き覚えの無い少女の声に、男の動きが止まった。剣筋は寸での所、アロウの腹部の手前で停止していた。
声のした方へ振り向くと、そこにはゆらゆらと光のように揺らめく、表情にあどけなさの残る少女が、男の姿を見て目を輝かせていた。





ーーーーーーーーーーーーー
後編へと続きます(多分←
アリョーシャちゃん、お借りしました!




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